F君に自画像があるようには見えないのですね。私は、計画を立てている過程がすごく楽しい性分です。一年間に十冊本を書こう、と目標を立てたら、年末に、その十冊の題名をだ1つと打ち込みます。そして、一冊一冊のレジメ(目次)を、四十行で書く。それをペースに、月一冊のペースで書いてゆこうとします。最初に全体の大まかな見取り図がありますから、どんなことをしていても、書こうとしているものを無意識に考えているわけですね。これが、私が自分に与えるストレスです。ただ、やっかいなのは、計画を立てると、それ以上にやりすぎる。立てないと、無鉄砲にやりすぎることです。自画像を描くということは、毎日毎日、自分にアクセントを与えていくということです。ストレスですね。これは、小さい時から、少なくとも大学時代からやっていないと、なかなか身につきません。ところが、自画像をもとうとしてもてなかった人は別としても、自画像を描くことさえ考えなかった人が、子供のころの「まずい自画像」を持ちだして、他人の器量を云々するのは、ちょっと以上にいやなものです。やってはいけないことですね。世間や他人からストレスを与えられている、その与えられた枠のなかに自分の自画像がある、と考えるのではなく、自分で自分にストレスを与えてゆく、これが白いキャンバスに自画像を描く作業の基礎にあるものです。その最初の試みが、大学ではじまる、と考えてください。
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