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タイは“楽”な国

ノンカーイからコンケンまで乗ったバスではこんなこともあった。そのバスはバンコク行きで、途中から次々に客が乗ってきて、車内に立つ人も目立つようになってきた。僕の横には胸の谷間がはっきりと見える服を着た若い女性が立っていた。冷房の効いた車内でうとうとしていると、囁くような声で目が覚めた。女性の横には男の車掌が寄り添うように立っていたのだ。「ここに座っている外国人はコンケンで降りるから、この横に立っていればいいよ」車掌はこの女性から携帯電話の番号でも聞き出そうといったそぶりで耳許で囁いているのである。

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周りには男やおばさんも立っていたが、そこには聞こえないようにそっと耳打ちしているのである。この車掌も、仕事そっちのけなのだ。関心は女性にしか向いていない。困った奴らだが、そういう世界に入り込むと、どこかアジアハイウェーを走破するという緊張も霧散していってしまう。やはりタイという国は楽な国だと思う。こんなところが気に入って、僕はバンコクに暮らしてしまったのだ。